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「承継」事始め

 ㈱メディカル・マネージメント・リサーチでは、30年前より先生方の開業支援をおこなってまいりました。
その当時より「開業」を考える先生方に対し、開業とは「25~30年の人生の選択」と言ってまいりました。

開業した以上、25~30年の時間をかけて「先生1人1人」の「医業」を成長させていく。その中でより良い方法を院長に選択して頂くために開業支援という形でコンサルティングを行ってまいりました。
そんな先生方も「25年」や「30年」という歴史を作り上げて、次の人生の選択肢に取りかかる時期を迎えており、その中の検討課題の1つとしてあげられるのが、「医療事業の承継」です。

近年のクリニック経営は、先生方も認識されている通り容易ではありません。

現院長先生も「競争激化による医療内容の変化」「患者サービス向上とリスクマネジメント」「スタッフに対する接し方」等と向き合い、長年にわたり院長(事業家)としてのビジネスモデルを作りあげ、院長(事業家)としての財産を形成してきたのではないでしょうか?
そしてこの財産を「誰に」、「どの様にして」伝承させるかを考えなければなりません。

その為には「承継」を大きなプロジェクトとして捉え、準備に時間をかけて順序よく取りかからなければなりません。
また、一言で「医療事業の承継」と言っても大別すると、「親子間承継」、「第三者間承継」があります。
これについては全く別々のプロジェクトと考えるべきでしょう。

今号よりこの親子間承継、第三者承継の仕方を「ノウハウ」という形で実務的に伝授してまいります。

親子間承継・5つのポイント

承継を「子」、「子の配偶者」「甥・姪」といった親族へと考える場合、まず下記の5つのポイントを踏まえて行かなければなりません。

 今号では、1.作り上げた経営理念をどこまで伝えるか?について解説します。

経営理念の伝承について

長年クリニック経営を維持してきた院長として、自分の理念を後継者に伝えたいという「思い」は、誰しもがあるものではないでしょうか?
しかしこれを「トップダウン型」で一方的に伝えようとしても、それを受け継ぐ子側としては、現院長の理念をそのまま引き継ぐことは難しいでしょう。
そこで承継させる子側に、時間をかけて理論的にこの経営理念を理解させる必要があります。

【話し合いの大切さ】 

まず、理論的に経営理念を伝える場合、現院長の「思い」を具体的に説明し、それを聞いた子側の「考え」、「意見」等を引き出させて話し合いを進めていく必要があります。
この話し合いを進めて行くためには、話し合いの「形」、「内容」、「時間」を検討することが大切です。

【話し合いの形とは】 

話し合いをする中で、子側に「これは一つのプロジェクトである」と自覚を持たせるためにも、話し合いは会議形式で実施することをお勧めいたします。
会議形式での実施とは、承継を行う当事者間だけでなく、各人の配偶者や、クリニックの運営を支えてきた方、例えば事務長・看護師長・クリニックの運営管理をサポートしている税理士・経営コンサルタント(以下「コンサル」)等といった第三者を参加させての話し合いを言います。
こうすることで承継プロジェクトに対し、あらゆる面で客観的な見方・意見が出ますし、また外部の税理士やコンサルと言った方が会議の進行役になることで「子側・子の配偶者」の意見も引き出しやすくなります。

さらに事務長・看護師長の様な現内部スタッフが参加することで、承継する子の人柄や考え方を見てもらい、その考え方が現院長の経営理念に合っているか、どこまで現院長の理念を引き継げそうか?等と言った事項も確認してもらうことも可能になります。
※第三者の参加は、クリニックの経営規模等によっても異なります。
 最低でも司会・進行役が務まる税理士・コンサルを話し合いに参加させることをお勧めします。

話し合いの内容

この話し合いは、経営理念を伝え、それを子側に理解してもらうのが一番の目的です。
そのためには、”現在に至るまでの患者数や患者動向の変化””現状の損益状況といった数字の分析結果”から、クリニックの「強み」、「弱み」を導き出して経営理念が確立されたことやその経緯を具体的に子側に説明しなければなりません。
特に、”現状の損益状況の補足説明”は税理士に。

クリニックの「強み」「弱み」の客観的な説明(他医院との比較を交え)をコンサルに委ねることで、子側の「質問」「意見」を具体的に出させてゆきます。
そして経営理念を理解させるのに何が課題になるか?また子側から新しい経営理念が生まれるのか?それ以前の目標が出てくるか?こうした子側の心構えを確立していく必要があるわけです。

 【話し合いの時間】

このように話し合いに「形」や「内容」を作っていくと、どうしても「時間」が大切になります。
普段から顔を合わす機会が少なければ少ないほど時間をかける必要があります。
できれば月に1、2度6か月から10か月位に渡り、1回当たり2時間位の時間をかけて、じっくりと話し合うことが良いでしょう。

また話し合いの「内容」を踏まえて話し合いを実施した4、5回目以降は進行役に課題(テーマ)を決めさせ、事前に参加者へ通知します。
さらに子側に対し次回の課題を出してもらうようにしていくことも良いでしょう。

そして、その都度の話し合いにある程度の(できれば)結論が出るように会議を進めて行ければベストです。
その時に必ず議事録を記録することは大切です。

あの時の意見や考えを読み起こすことで新たな「考え」が生まれるかもしれません。また「言った。言わない。」といった水かけ論になることもありません。

次号へつづく・・・・